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[C166] Re: 懐かしい思い出です

あみいさま

はじめまして、こんにちわ。ヒミツコメントありがとうございました。奥ゆかしい方と存じますので、コメントの内容には触れませんが、28日の体験が、素晴らしいものになりますようお祈りいたします。
  • 2012-10-26 09:10
  • いくらおにぎり
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[C167]

こんばんわ、この天の虹を観てきました。懐かしく
涙がぽろぽろ流れてたまらなかったです、桃園アパ-トの給水塔南2号から、田中絹代さんが、買い物籠を持ってたちどまった後ろに、赤い洋服を着た3歳の自分を見つけました、祇園町商店街、キリンの門のさいせい幼稚園、前田小学校も出るとよかったのに。六畳二間のアパ-トを思い出しました。今88歳の母のこの話をしましたら、田中絹代さんは本当に
演技の上手な女優さんで、ロケ中ドキドキして撮影を観ていたそうです。本当にこの映画に出会えて感謝です。いくら様ありがとうございました。
  • 2012-10-28 23:42
  • あみい
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[C168] Re: タイトルなし

あみいさま

まさに、あみいさまにとって、うれしいタイムカプセルだったのですね。良かったですね。

もちろん、あみいさまには負けますが、日本人全般にとっても八幡製鉄所さらに新日鉄は、「民族の大事な記憶」だと思います。今は韓国のポスコなどに追いまくられていますが、どうにか生き残ってほしいものです。
  • 2012-10-29 09:16
  • いくらおにぎり
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この天の虹 完全版

本家、いくらおにぎりブログの方に、木下恵介監督の「この天の虹」をアップしました。
しかーし、gooブログの字数制限が極悪なため、3000文字ほど削るハメに。
まあ、書き過ぎた自分も悪いんですけどね。でも、このままじゃ納得できないので、こちらに完全版をアップすることにしました。

すでに、いくらおにぎりブログでお読みいただいた方は、まあ、お暇なおりに「間違い探し」の気分で眺めていただければ。




【「この天の虹」木下恵介 1958】を観ました

おはなし
八幡製鉄所のみなさん、頑張ってください。

現実的などす黒いお話と、やけにリリカルなお話を、社会科見学と足して、3で割ったような作品です。なんじゃそれは、と思われるかもしれませんが、そうなんだから仕方ない。実際問題、この映画を観終わると、いっぱしの八幡製鉄所通になれること間違いなしです。

数多くの煙突が林立している大工場群が空撮で映し出されます。「北九州の一画、八幡。ここに東洋最大の製鉄工場、八幡製鉄所がある。創業明治三十四年。わが国最初の総合製鉄所として生産を開始して以来、五十有余年。幾多の辛酸苦闘を経て、今日の威容を成したのである。資本金230億円。工場総面積172万6千坪。従業員、3万7千5百。この偉大な近代産業の職場は、昼となく夜となく日本の国力を背負って、鉄と人間が火花を散らして戦っているのである。鉄が燃える。人間の命が燃える。そして、この天に七色の煙があがるのである」。確かに、無数の煙突からは、茶色の煙や真っ白な煙がモクモクと出ていますね。さすがに七色はないと思いますけど。

『溶鉱炉』のテロップと共に、火花が飛び散る灼熱の世界が映し出されます。そして、溶鉱炉の説明がナレーションでひとくさり。以降、この社会科見学パターンが続くので、『』部分は、ああ社会科見学なんだな、と思っていただければ。

さて、溶鉱炉で溶けた銑鉄は構内各所に運ばれるわけですが、これがスゴイ。なんと機関車で運んじゃうみたいですよ。「機関車数136。貨車3884輌。線路の延長は390キロある」だそうです。マイ線路とマイ機関車をこんなに持っているなんて、ハンパじゃない規模ですね。

以降、『平炉工場』『転炉工場』『分塊工場』『厚板工場』『軌条工場』『線材工場』『ストリップ工場(熱延)』『ストリップ工場(冷延)』『メッキブリキ工場』『コークス炉』などが、手際よく紹介されていきます。この段階で、なんの映画を観ているのか分からなくなってますが、単純にその迫力には圧倒されます。

そして、港からの積み出し風景や、新工場の建設風景などが紹介されたあとに出てくるのが『本事務所』。まるで大学の校舎みたいな、古めかしいけれど立派な建物です。おや、誰か偉そうな人の写真が映りましたよ。『社長 小島新一』だそうです。ついで、会議室の風景に。イキナリの映画出演に、ちょっと緊張気味なおじさんがいます。『副社長 所長 角野尚徳』さんだそうです。

さあ、そろそろお芝居の開始です。『桃園アパート』という名前の巨大団地群が映りました。仕事を終えて、そこにある下宿に帰ってきたのは、須田菊夫(川津祐介)。しかし、ドアを開けると、青年がゴロンと寝そべっていますよ。「君か、下宿人は」と聞かれ「そうです。稔さんですか」と丁寧に答える菊夫。しかし影山稔(小坂一也)は、「どうぞよろしくくらい、言ったらどうだい」と横柄に言うのでした。ムカッ。「製鉄ほどいいとこがあるかい。運輸部だってな、ポイント返しだそうじゃないか」と、嫉妬丸出しの稔に辟易した菊夫は部屋を飛び出します。おっと、稔のお母さん・影山フミ(田中絹代)が買い物から帰ってきたようです。「稔さん、帰ってきたんですね」と菊夫が言うと、フミは顔をしかめて答えるのです。「またお父さんの頭痛の種。工場がつぶれたんだって」。

やけに立派な『八幡駅』に機関車が滑り込んできました。人待ち顔の相良(高橋貞二)は、お母さん(浦辺粂子)を見つけて走り寄ります。「お母さん」「たまげたばい。お前の手紙」。そう、相良は好きな人ができたので、母と一緒に、職場の大先輩の影山直司に仲人をお願いするつもりです。あ、会う場所は八幡製鉄の『従業員クラブ』。もちろん立派なのは言うまでもありません。しかし、相良の好きになった相手は、どうやら秘書をしているくらいの美人らしいです。「なにしろ本事務所の女性は、たいてい職員さんと一緒になるそうですからなあ」と困り顔の影山(笠智衆)に、しかし、相良は言うのです。「断られてもかまいません。断られて、ハッキリ思い切りたいんです」。

ダンスクラブでは、ムーディなアレンジの黒田節をバックに大勢のカップルが踊っています。そんな大勢のカップルの中でひときわ目立つのは、大学出の技師・町村(田村高廣)と、本事務所秘書・帯田千恵(久我美子)のカップル。と、そこに菊夫がやってきました。「あなたも踊るんですか」と優しく声をかける千恵に、「見に来たんです」とぶっきらぼうに答える菊夫。そんな二人を見て、町村はプチ嫉妬です。「顔が広いんですね」「去年の旅行会で一緒だったんです」「そう、今度は雲仙行くのがあるでしょ。一緒に行きましょうか」。

菊夫は大好きな先輩である、相良のところを訪ねました。「僕、独身寮に入ろうかと思うんだけど。相良さんの部屋に入れてくれますか」と甘えん坊ビームを出す菊夫。「ああ、いいよ」。やったあ。ルンルン気分で下宿に帰る菊夫。しかし、影山家ではひと悶着あったようですよ。それというのも、工場がつぶれたと言っていた一人息子の稔ですが、単に仕事がイヤになって辞めただけのようなのです。「困りましたなあ。相良さんの縁談どころじゃないですよ」「はよう、話に行ってあげなさい」。そんなフミと影山の話を菊夫は立ち聞きしてしまったのでした。

『穴生アパート』が映ります。「現在、着々と建設されている、この美しいアパート群が完成されると、55%の所帯数が入居できるのである。色彩、様式の変化。おそらく社宅としては日本最初の試みであろう」だそうで、確かに色とりどりのキレイな建物が一杯ですよ。そこを訪れたフミは、目的の帯田家のドアをノックします。トントン。トントン。帯田家のお母さん・たつ江(岡村文子)が出てきました。ちょっと太めで意地が悪そうですね。「奥様でいらっしゃいますか。始めまして。溶鉱炉の影山の家内でございます」「まあまあ、溶鉱炉でございますか。そりゃあまあ、溶鉱炉は結構でございます。何と言ったって、製鉄所では溶鉱炉でございますもの。ささ、どうぞ、どうぞ」。訂正します、たつ江は、ズルソウな上に、調子良さそうです。

帯田家の食卓。お父さんの良平(織田政雄)と、長男の京一郎(大木実)にたつ江がグチってます。「私はお話を聞いた時、とんでもないと思ったんですよ。それでも、すぐ、そうは言えないでしょ。一応はまあ、よく考えますなんて言っといたけど、まっぴらよ、作業員の人なんか」。「相良さんもいい人だけどな」と京一郎が言ってみても、たつ江は聞く耳を持ちません。「ダメダメ。千恵だって承知するもんですか」。

はい、その千恵は前川家を訪問中。実は帯田家では家を一軒、持っているのですが、自分たちは社宅に住んで、その家を渉外課の前川に貸しているのでした。ま、要はたつ江がガッチリしているってことみたいですね。もっとも、千恵は前川(須賀不二夫)や、奥さんの久子(小林トシ子)に用事があるわけではなくて、ここに下宿している町村に会いにきたみたいですけど。それにしても遅いわね。うーん、もう。シビレをきらして、前川家を辞去する千恵。おや、ちょうど町村が帰ってきましたよ。「雲仙、行きますわ。わたくしも」「ああ、あれね。行けなくなっちゃったんだよ」。ガガーン。気を取り直して「みんなが言うんです。私と町村さんがヘンだって」と目をパチクリしてみる千恵。「へえ、そうぉ」。どうも、この二人には温度差があるみたいですね。

朝の出勤風景。「工場の仕事は三交代制になっている。甲番が朝6時から。乙番は午後2時から。丙番の夜勤は午後10時から朝6時までである。遅刻は3回で一日の欠勤になる。たいていは、30分ほど前に入門して、交代時間を待つのである」。なるほど、確かに人の波がゾロゾロと工場に向っていますね。っていうか、どんどん八幡製鉄所の豆知識が増えていく。当然、出勤する人がいれば、夜勤を終えて帰る人もいるわけで、相良は長い夜勤を終えて、家に帰るのです。

『男子独身寮』「このような寮は11箇所。約700人の人が生活しており、食事つき3千円の安い費用で賄われている」と豆知識を補充しつつ、独身寮の男くさい部屋にゴロンと横になる相良。なんか、そこに菊夫がやってきましたよ。寝ている相良の横で、黙って相良に団扇で風を送ったりして。ついでに、いきなり一輪挿しにささった白い花と赤い花のイメージカットが挿入されたりして。なあんか、薔薇な匂いがしてくるカットです。

『体育館』「この巨大な体育館は、収容人員約5千の観客席を備え、色々な室内競技や音楽界などが行われる」。スゴイ、スゴイ。その体育館に付設されたレストランで食事をしている相良と菊夫。カレーライスにドボドボとソースをかけている相良を菊夫がたしなめています。「カレーライスにソースをかけるのは田舎者だってさ」。平然とした顔をしている相良ですが、その情報の出所が千恵だと聞いて、微妙に動揺しています。「帯田さんが、そう言ったのか」「うん、かけない方がいいって」「俺にはこの方がいいんだ」。内心の動揺を隠しつつ、カレーライスをパクつく相良。そんな男らしい相良を、菊夫はうっとりと見つめるのです。

前川家では、町村が机に向って勉強中。しかし、なんか雰囲気がヘンですね。町村の後ろで、前川夫人の久子がシクシク泣いています。「いやだなあ、奥さん。どうかしてますよ、今日は」と町村が言うと、久子は「冷たい方ね」とネットリした視線を向けてきます。「あたしを避けてる癖に」とサメザメ泣く久子に、町村はブチンとキレました。「下宿、変わりますよ」「お願い。出て行くなんて言わないで。もう何も思いません。あなたがうちにいて下されば、それでいいんです」。「町村さんっ」としがみついてくる久子。町村は、まるで汚らわしいものにでも触れられたように、ドリャーっと振り切っています。なんか、有閑マダムに片思いをされちゃうとタイヘンですね。と、そこに前川の姪で、製鉄所の病院で看護婦をしている八重子(伊藤弘子)が訪ねてきました。あわてて、町村から離れる久子です。ちなみに、八重子は千恵の兄・京一郎の婚約者だったりするんですが、それはまた後のお話。

『八幡製鉄管弦楽団』のコンサートが体育館で行われています。観客席では各人がそれぞれの想いを抱えて、音楽を聴いています。相良と菊夫。京一郎と八重子。町村と千恵。町村の横で楽しそうな千恵を見つけて、相良はションボリ。発情している久子は、仁王立ちになって町村カップルを睨んでいますよ。それに気づいて、京一郎にヒソヒソと何かを話している八重子。一方、会場の外では、稔がヤケザケをあおり、そして、たつ江が縁談を断りにフミのところに行っています。まさに悲喜こもごも。っていうか、せっかくだから、みんな音楽に集中しようよ。

工場を見下ろす絶景ポイントな高炉台公園。相良に寄り添うように座っていた菊夫は言います。「ボクはイヤんなっちゃった」。「なぜ」「希望がないんだもん」。おいおい、川津祐介、カマっぽすぎます。「試験を受けに来たとき、ちょうど、雨上がりで、工場の上には大きな虹が出ていましたよ。ボクはもう胸がワクワクしちゃって、俺の将来の夢は、この天の虹だと思った。ボクの一生の夢も希望も、この工場の空にあるんだと思った。あの煙だって、ボクには虹のように見えたんです。でも、そうじゃなかった」。おいおい、それは仕事に慣れてきたころに、誰でもかかるハシカみたいなもんだから。そんなにガックリしないで。「ただ、生きてるだけなら死んだほうがいいんです」と甘えん坊ビームを相良に発射する菊夫。しかし、相良は黙って菊夫の頭を拳骨でポカリと叩くのです。「もう一つ殴ってやろう」と、持っていた扇子で、菊夫を頬を優しく叩く相良。「目が覚めただろう」。えーと、これはラブシーンですか、そうなんですか。そう解釈していいんですよね。

昼間、菊夫が更衣室で着替えをしているところに、相良がやってきました。あ、もちろん上半身はハダカね。「あの話ダメだったよ」「えっ」「出がけにお前のとこの奥さんが見えた。じゃまた、遊びに来いよ」。菊夫は、走る機関車から飛び降りてポイントを変える作業をしつつも、なんだか屈託を抱えている表情です。

さて、千恵は職場の先輩から仰天ニュースをゲットしました。なんと町村がブラジル派遣のメンバーに選ばれたというのです。これは、かなりのエリートコースらしいですよ。しかし、自分には一言もなし。これって、どういうこと。さっそく町村を探す千恵。しかし、町村は本事務所の女性たちと、プールで楽しく遊んでたりするのでした。ムカッ。

一方、婚約者の八重子から、町村と前川の奥さん・久子がアヤシイと聞いた京一郎は、さっそくお母さんのたつ江にご注進。しかしたつ江は、「姪がおばさんのこと心配して相談したんだから、間違いないよ」と不倫を確信しつつも、「だけどねえ、千恵をもらってくれる気になってるかもしれないんだろ。そんなヘンなこと千恵には言わない方がいいよ」と、ウヤムヤにする方向に。なにしろ、町村は大卒のエリートですからね。そんな母に愛想をつかしたのか、「お母さんは黙ってなさいと言うんだが」と京一郎は千恵に全てを話すのでした。

「どうして断ってきたんですか」と相良に駄々をこねている菊夫。「知らんよ、そんなことは」と相良は答えます。ホント、こっちが泣きたいくらいなんだぜ。「おい、高炉台公園、行こう」。またも、夜の高炉台公園で、ピッタリと寄り添って座る二人。「俺も夢見てたんだ。お前のほっぺたをぶん殴ったけど、俺もあの工場の空にきれいな虹を夢見てたんだ。あの煙より他に、俺の虹はないのにな」「バカだ。相良さんを断るなんて、あの女バカだ」。勝手にヒートアップしていく菊夫。下宿に戻ると、フミに食って掛かります。「バカだ。あの女バカだ。とにかくボクは承知できませんからね。下宿もやめます。独身寮に行きます」。「また、そんなこと言うて」とフミが呆れていると、横から稔が口を挟んできましたよ。「行きたきゃ、行ったらいいじゃないか」。そのまま取っ組み合いのケンカを始める菊夫と稔。男の子ですねえ。まあ、ケンカを黙ってみているワケにもいかず、止めに入るフミ。そう、結局、稔は仕事のないこと、いいえ、製鉄所に入れなかったことで、菊夫に八つ当たりをしているだけなのですから。「ゆっくり、お父さんとお母さんの側におればええじゃないか。さ、お父さんが小遣いがないといけん言うて、千円置いていったよ。なっ。ほうら」。そんな母子の姿を見ていて悲しくなってしまう菊夫。うわーん。部屋を飛び出します。階段で泣いている菊夫。おや、フミがやってきて、慰めてくれましたよ。「すいませんでした。寮なんか行きませんから。お願いします」。エグエグ泣いている菊夫です。

まあ、それはそれとして、納得のいかない菊夫は、本事務所にいる千恵のところに乗り込みました。「どうして相良さんのこと断ったんですか」。いや、そんなこと言われても。「だって、はっきりお返事したでしょ。それでいいじゃありませんか」と千恵が言っても、菊夫はしつこくからんできます。さすがに扱いかねて、「どうしてもお聞きになりたいなら、母に聞いてください」と答える千恵。まさか、本当に行かないとは思うけど、いちおうお母さんには言っておこう。

うわっ、菊夫は千恵の家に乗り込んできました。事前に娘から聞いていたお母さんのたつ江はイキナリ臨戦態勢です。グワーンとドアを開けたたつ江は仁王立ちで言います。「あんたですか。娘に失礼なこと言うのは」。あまりの迫力に言葉もない菊夫。「うちの娘が誰と結婚しようと、あんたの知ったこっちゃありませんよ。さ、何が聞きたいんですか。お茶なんか出さないから、そこで言ってごらんなさい」。えーと、考え直してください。「ダ・メ・で・す。うちの娘は作業員のとこなんかにやりませんよ。それだけ。分かったら、お帰んなさい」、ガチャン。すごいイキオイで閉められたドアの前で、呆然とする菊夫です。

購買部が映ります。「セルフサービスによる、このような購買部は、八幡、小倉、戸畑の三市に14箇所あり、主食をはじめ従業員の日曜生活品全部を取り扱っている」そうです。要は、単なるスーパーなんですけどね。きっと、この頃は画期的なものだったんでしょう。そんなスーパーでやたらと大きいレジを操作している前川の奥さん・久子。そこに怖い顔をした千恵がやってきましたよ。「奥様、内心笑ってたんでしょ」「なんのこと、それ」「おトボケですか。私、知ってます」。スタスタと歩き去っていく千恵の背中には、怒りのオーラが。

さて、町村に縁談の話が舞い込みました。部長(細川俊夫)が姪を紹介したいと言うのです。「これが姪だけどね。そんなに見られん顔でもないだろう」。そりゃあ、当たり前です。だって、写真に写っているのは、東映のお姫様、高千穂ひづるじゃありませんか。「僕は押し付けるつもりなんか、さらさら無いが、まあ会うだけ会ってみてくれよ。水上カーニバル、見に来るそうだから」。こういう場合、答えは一つしかありません。「はい」。「ブラジル行くんなら、奥さん連れて行った方がいいよ、キミ」。仰るとおりでございます。

翌日、千恵の兄、京太郎が怪我をしました。よく分かりませんが、命に別状のあるほどではなさそう。しかし、会社の病院に入院して、タイヘンな感じです。そして、夜になり、水上カーニバルの開始です。「毎年、八月上旬には東京、大阪から一流芸能人を呼んで、一週間にわたり華やかな舞台が繰り広げられる。従業員は市民と一緒に、この夏の夜を楽しく過ごすのである」だそうです。なんていうか、八幡製鉄サイコー。

田舎から呼んだ母と、仲良く見物している相良。フミと夫婦水入らずで見物している影山。そして部長とお見合い相手(高千穂ひづる)に挟まれ、つまらなそうな顔をしている町村。まあ、人それぞれですね。

その頃、千恵は兄の病室にいました。婚約者の八重子といちゃつきつつ、千恵に説教をする京一郎。「千恵、町村さん(は)、どんなに頭のいい、将来有望な人か知らんが、相良さんだってきっと立派な人に違いないよ。俺はそんな気がするんだ。現場で鉄と汗と取っ組んでる、俺の体がそう思うんだ」。いきなり、俺の体を持ち出されても途方に暮れますが、千恵は素直にうなづくのです。「あたし、うちに帰って、よく考えてみるわ」。

延々と続くダンスシーンに嫌気が差したんでしょうか。町村はテキトウなことを言って、水上カーニバルを抜け出しました。と、そこに町村を監視していた久子が登場。「見合いだったの」とジト目です。「いるもいらないも、今までぜんぜん知らなかった人と結婚するくらいなら、ふと思ったんです。千恵さんの方がいんじゃないか。そう思ったら、急に千恵さんに会いたくなっちゃった」と屈託なく笑う町村。よく聞くと、ずいぶん、失礼なこと言ってるような気もしますが。しかし、テンぱった奥さんはそれどころじゃありません。「町村さん、あたし苦しい。かわいそうな女だと思って」「お願い、今日だけは。お願い、今日だけは」。えーと、道っぱたで、なに発情してるんでしょうか。ネコじゃあるまいし。

病院を出た千恵が夜道を歩いていると、向こうから不良化した菊夫が歩いてきましたよ。やたらとカラんでくる菊夫に、「大きな声で人を呼びますよ」と怒る千恵。しかし、菊夫は言うのです。「ああ、呼んでください。ボクも大声でみんなに聞いてもらいます。あなたのお母さんは、作業員になんか嫁にやれないって、言いましたからね」。ギクッ。「製鉄には3万人の作業員がいるんですよ。その3万人を、同じ職場にいるあなたが軽蔑している。ボクは承知できないんだ」。ギクギクッ。菊夫は脅迫のツボを押さえてますね。千恵は仕方なく、「じゃあ、あなたに納得できるようにお話します。相良さんと3人でお会いしましょ、ねっ」と猫なで声を出すのでした。

千恵と別れた菊夫は下宿に帰ります。すると、どうしたことでしょう。稔が旅行の支度をしているじゃありませんか。それもタンスから勝手に金を持ち出して。「いけないったら」と止める菊夫。しかし稔は「お前は得意なんだろ、製鉄に入れて。バカヤロー」と飛び出していってしまうのでした。はい、飛び出した稔は社宅の外で、両親と鉢合わせ。えーと、えーと、どうしよう。さすがに親だけあって、両親は稔が金を持ち出したことも、東京に行きたいこともお見通しです。しかし、それでも言ってくれるのです。「帰っといで。困ったら、すぐ帰っといで。恥ずかしいことなんかあるもんか。すぐ帰っておいでよ」「ワシの言いたかったのもソレだ」。なんていうか、甘やかしすぎじゃありませんかねえ。そのまま、駅まで付いていくフミ。「送り先が決まれば、すぐお金は送ってあげるからね」「……」「そうそう、汽車の中は暑いじゃろうから、団扇持ってくがええ」「……」。汽車がやってきました。顔を覆って、座り込んだままの稔。ほら、汽車が出てしまうよ。「俺、東京に行くのやめる」。はぁ?

菊夫が相良のところに意気揚々とやってきました。「おはよーございまーす」。ほら元気でしょ。「明後日の日曜、帯田さんに会って欲しいんです」。「ええっ、どうして」とビックリする相良。「ボクと相良さんのいるところで、断った理由話すって言ったんです」。えーと、どうして、そういう勝手なことを。とりあえず、菊夫を軽くボコっておく相良。しかし菊夫は「殴られてもいいんです。だけど相良さんさえ結婚断られるようじゃ、ボクなんかもう、どうしていいか分からないんです。相良さんのためじゃない」と上目遣いでカワイク見たりして。でも、カワイクしたってダメなものはダメっ。相良に断固拒否され、ムクれる菊夫でした。

さすがに、久子の無警戒な発情っぷりは噂になり、夫の耳にも。前川家の朝の食卓で、前川は町村に重々しく言います。「町村さん、言いにくいことを言わなきゃなりませんけど、いかがでしょう。下宿を変わっていただけませんか」。もちろん、それは町村自身が望んでいたことでもあります。ただ、ここで黙って引っ越すと、まるで噂が真実だと認めるようなものですよね。それはマズイ、ひじょーにマズイ。「誤解を受けて引っ越すのはイヤです」と答える町村。奥さんとは何でもありません。信じてくれますか。ええ、信じましょう。なんかよく分からないけど、ガッシリと握手する男二人。と、久子が「バカにしないでください」と、いきなりブチキレましたよ。「あたしだけノケモノにして、男同士だけイイ顔になって」「じゃあ、お前にも言い分があるのか」「あります。町村さん。私はちっともヤマシイことありませんでしたわね」「え、ええ。ありませんよ」。勝ち誇った表情で、「あなたっ、あなたっ」とわめきつつ、夫とガッシリ握手する久子。ス、スゴイ。ピンチをチャンスに変える女です。

スゴイ『会社貯水池』のほとりにあるスゴイ『健康保険クラブ』で、部長の姪に断りを入れる町村。えーと、多分、このシーンにはさほど意味はなさそうです。多分、スゴイ『会社貯水池』とスゴイ『健康保険クラブ』を紹介したかっただけじゃないかと。いや、会社が貯水池持ってるとか、ホントにスゴイと思いますけど。

さて、約束のレストラン(もちろんスゴイ『体育館』にあるヤツ)に出かけてきた千恵。しかし、ふてくされた菊夫がいるだけで相良はいません。まあ、いいや。じゃあ、あなたに話すわね。それでね、軽蔑してるから相良さんのこと断ったんじゃないのよ。単に、先に好きになった人がいただけ。「大学を出た優秀な人らしいし、あんな人を結婚できたらいいなと思ったわ。その気持ち、ムリじゃないはずよ」。それに作業員だって尊敬してるわ、と力説する千恵。「こないだケガをした兄だって、相良さんのこと言ってたわ。きっと立派な人に違いないって。僕の体が知ってるんだって。あたくしも、そう思う」。いえ、それはいいけど、「僕の体が知ってる」ってフレーズ、どうにかなりませんか。なんか、別の意味になっちゃいそうです。ともあれ、「分かってくれた」と聞かれた菊夫はうれしそうです。「ええ、なんだか、うれしくなっちゃった」。そのまま、高炉台公園に行く二人。ここには相良さんと来たんです、と頬を染めて語る菊夫。「最初に来た時はほっぺたを引っぱたかれたんですよ」「まあ、ずいぶんひどい人ね」「ううん。とっても優しい人ですよ。あんな男、問題じゃない」。そして、いかに相良がいい人か、そして千恵を愛しているかを熱く語る菊夫。ぐらっ。千恵の心は揺れます。「ねえ、相良さんに会わせてくれない」。

幸福な気分で家に変える千恵。しかし、なんてタイミングの悪さでしょう。さっきまで、町村が家で待っていたと言うじゃありませんか。それも求婚をしに来たそうです。オーホッホなイキオイのお母さんに、それでも、千恵は言います。「あたしは町村さんを好きだったけど、いつだって、心から楽しい日なんてなかったわ」。それを聞いて、ギャーギャーわめき始めるお母さん。と、そのお母さんをお父さんが叱り付けましたよ。おお、やっぱりお父さんは頼りになります。「お父さんは、どう思う。あたし、お父さんの良いようにする。ねえ、お父さん」。さあ、相良さんと結婚しろって言って、お父さん。「町村さんが貰ろうてくるるなら、町村さんのところへ行きゃいいたい」。ええっ!!

ビックリした千恵はお兄さんのところに。なにしろ、お兄さんは「僕の体が知ってる」男ですからね。相良と結婚しろと言ってくれるはず。と、思ったら町村と結婚しろとか言ってますが。ええっ!!「別にズルイ女ってわけじゃないさ」。そんなあ。

早速、兄の京一郎は菊夫のところに出かけました。「千恵だけが特別、打算的な女ってワケじゃないよ。結婚は一生のことだもん。いい条件の方を選ぶのが、むしろ人間として正直じゃないのかな」。マッチョな京一郎に言われ、コクっとうなずく菊夫。「キミは何百人の中から選ばれて入社できたんだろ。入社できなかった何百人はキミのことをうらやましいと思ってるんだ。」。えーと、微妙にプライドをくすぐられた菊夫は、あっさり陥落です。

千恵と町村が会っています。「白状するけど、僕だって並大抵の努力じゃなかったんだ。この大きな会社の中で認められるのはね。それをバカじゃあるまいし、前川さんの奥さんなんかに。自分を傷つけるようなヘマをするもんですか。握手してください」。握手する二人。まあ、浮気していないのは分かりますが、町村の性格、ダークすぎるだろ。

不穏な音楽が高まります。線路を走る作業員たち。何か事故が起こったんでしょうか。線路といえば、運輸部の菊夫が勤めている場所ですが……。
ダッシュで病室に飛び込んできた相良。そこには意識不明の菊夫と、それを心配そうに見守る影山とフミがいました。「麻酔が効いとるんです。助かるそうです。胸を打ちましてね」と影山が言えば、フミは「うわごとを言うとりましたよ。相良さん、虹が、虹がって」とシミジミです。「須賀、死ぬんじゃないぞ」としか言えない相良でした。

高炉台公園。相良と千恵がいます。「あれが退院したら、僕たちはまたここに登ってきます。そして、あなたのことを話し合います。そのころ、あなたはブラジルに行ってるかもしれない。そしたら、思い出してください。ぼくとあいつが、ここで、この空を見て、なにかボソボソ話し合っている姿を」。なんか、ハンカチで涙をぬぐったりしている千恵。相良は続けます。「じゃ、時間ですから。さようなら。お幸せに」。ペコリとお辞儀をする二人。おや、ナレーションが聞こえてきましたよ。
「幸せに。幸せに。この煙の下で働く人々。その一人ひとりの力はささやかであっても、この巨大な工場から生産される鉄は、我われの生活を支え、日本の文化と国力の大いなる力となります」。

溶鉱炉で働いている影山。溶けた鉄をまぜている相良。圧延機を操作している京一郎。まじめに土方をしている稔。そんな働く人々がスケッチされ、そして最後のナレーションが。「働く人々の健康と幸福を祈ります」(終)


うわあ。木下監督、スゴイ映画を撮りましたね。なんていうか、圧倒的。久我美子を巡る高橋貞二と田村高廣の三角関係を軸に、ニートな小坂一也に手を焼く田中絹代たち。発情しっぱなしの小林トシ子。そして不思議ちゃんな川津祐介などを、過不足なく盛り込んでいく脚本執筆能力はさすがとしか言いようがありません。そして、それを八幡製鉄所の「社会科見学」に、うまく合体させてしまうんですからね。ヤリスギな部分も含めて、この人は間違いなく天才です。

さて、八幡製鉄所(現・新日鉄)ですが、なんといっても、その巨大さにビックリです。自前の貨車が4千両近くとか、マイ貯水池があるとか、すでに会社の域を超えてるし。おそらく、木下監督もロケハンで、この巨大さに圧倒されちゃったんでしょうね。画面からは、監督の素直な驚きが伝わってくるようです。もちろん、その巨大さにただ驚いているだけだと、本当に「社会科見学」で終わってしまうので、巨大な組織と対比させるように、ちっぽけな人間を描いていくところも、木下監督らしくて好きです。まあ、あまり会社批判みたいな視点では描けないのは、仕方ないのかなと思いますけど。あんまり、ハデにやったら、撮影協力してもらえませんもんね。

あと、田中絹代の演ずるお母さん。これがなかなかいいです。田中絹代が演じているだけに、まるで「陸軍」のお母さんの焼き直しのようですが、これは木下監督の原点じゃないかと。実際、木下監督はかなりのお母さん子だったようで、監督の描く「お母さん」は独特な匂いに満ちています。とにかく子供がかわいい。どんなに理不尽なことであっても、バカにされようとも、とにかく子供を溺愛するんですよね。これを中途半端にやられると腹がたちますが、木下監督が描くと、なんとも慈愛に満ち溢れたお母さんに見えてくるから不思議です。

この映画は川津祐介のデビュー作でもあります。おそらく監督の好みとしては、石浜朗あたりの美青年がストライクなんじゃないかと想像していますが、この映画の川津祐介も、そういった点では、精一杯「カワイク」撮ってもらっている感じです。まあ、ここらへんは観客の需要というよりは、監督自身の趣味の世界ですからね。コメントしずらい部分ではあります。

それはともかく、やっぱり相良と菊夫が結婚すれば、全ては丸く収まるって理解で、間違いないですよね。


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[C166] Re: 懐かしい思い出です

あみいさま

はじめまして、こんにちわ。ヒミツコメントありがとうございました。奥ゆかしい方と存じますので、コメントの内容には触れませんが、28日の体験が、素晴らしいものになりますようお祈りいたします。
  • 2012-10-26 09:10
  • いくらおにぎり
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[C167]

こんばんわ、この天の虹を観てきました。懐かしく
涙がぽろぽろ流れてたまらなかったです、桃園アパ-トの給水塔南2号から、田中絹代さんが、買い物籠を持ってたちどまった後ろに、赤い洋服を着た3歳の自分を見つけました、祇園町商店街、キリンの門のさいせい幼稚園、前田小学校も出るとよかったのに。六畳二間のアパ-トを思い出しました。今88歳の母のこの話をしましたら、田中絹代さんは本当に
演技の上手な女優さんで、ロケ中ドキドキして撮影を観ていたそうです。本当にこの映画に出会えて感謝です。いくら様ありがとうございました。
  • 2012-10-28 23:42
  • あみい
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[C168] Re: タイトルなし

あみいさま

まさに、あみいさまにとって、うれしいタイムカプセルだったのですね。良かったですね。

もちろん、あみいさまには負けますが、日本人全般にとっても八幡製鉄所さらに新日鉄は、「民族の大事な記憶」だと思います。今は韓国のポスコなどに追いまくられていますが、どうにか生き残ってほしいものです。
  • 2012-10-29 09:16
  • いくらおにぎり
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