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貞操問答 第8回 圭子の仕事

「圭子の仕事」。書き出しはこんな感じです。

新子の姉の圭子が、会員になっている新劇研究会というのは、M大学の文学科の教師をしている小池利男というフランス帰りの劇作家が、顧問兼監督をしていて、会員は大概良家の文化的の子女で、大学や専門学校へ通学している男女学生である。この春から第一回の公演として、アンリ・ルネ・ルノルマンの「落伍者の群」を、やるやると歌に唄いながら、結局学校の休暇を待つよりほかなかった。

前段はまあいいとして、「やるやると歌に唄」うってのが意味不明。ともあれ、この劇団の監督、小池っていうのがずるい男で、圭子をお嬢さん育ちと侮って、どうにか金を引き出そうと必死です。

「いや、貴女だけに、心配をかける訳には行かないし、それに、毎日二百円はかかりますよ。切符代なんて、てんで集まらないし……僕は、すっかり憂鬱になりますな。」溜息を吐くと、小池は卓子の上に肘をついて、圭子を見た。

それに、すぐ乗せられてしまう圭子。

「先生。大丈夫だと申し上げましたのに。私、母に話せばどうにかなると思いますの。」
 学問はあっても少うしお調子ものの圭子は、頼まれもせぬのに、つまらない役を買って出ているのだった。


実際は、家計は火の車だってのにねえ。そして形ばかり頭を下げる小池に、圭子は

「いやですわ、先生。そんなことをなすって、おほほほほほ。」
 小池はなかなか頭を上げなかった。圭子は笑いながら手を延ばすと、小池の頭を両手ではさんで持ち上げた。


なんか、おほほほほほとか言いつつ、敵の頭を万力締めにしている風景が目に浮かんでくるんですけど、違うんだろうな。

ま、とにかくですよ。安請け合いをしたものの、お母さんも新子からきつく厳命されてますから、お金なんて出してくれません。それに、そもそも大学まで行かせてるのに、女優になりたいとか長女が言い出したのには、驚くやらあきれるやら。卒業したら、とっとと働いてよ、って感じです。

 母親が思いのほかに強硬なので、圭子はいらいらした。少くとも、今日百円や百五十円は持って行かなければ、自分をアテにし切っている小池に合わす顔がない。楽屋入りは三時である。などと思うと、欲しい玩具を買ってもらえない子供のようにかりんの茶卓の上に、ほろりと涙を落してはそれを指の先で潰していた。
「そんな無理難題をいってお母さんをいじめるもんではありませんよ。お前いくつだと思っているの!」そういって、母は台所の方へ立ってしまった。


と、そこに郵便屋さんが書留を届けに来ました。見れば、それは新子から。受け取った圭子が、こっそり開封してみると、なんと新子が臨時収入を送ってよこしたじゃありませんか。

こちらへ来ると、すぐお嬢さまが、ご病気で、徹夜で看病しました。これを、ご主人が欣んで下さって、沢山のお手当をいただきました。これは、どうぞすぐ貯金へ。ご主人へ、お礼状などは、お出しにならないように、そんなことはお嫌いな方ですから。
新子
  母上さま


なんと為替が140円分もある。ラッキー。さっそく、新子は為替をパクリ、手紙は破り捨てて、小池のとこに、ゴーゴーです。しかし、このお金も、劇団が公演を二日うてる程度。さらに金は必要です。

「それで今日と明日とは、どうにかなります。だが、問題は明後日ですな。」という小池に、
「明後日まででしたら、私きっと後を何とか致しますわ。」と、圭子はまた引き受けてしまった。


しかし、家に帰って貯金通帳をあさってみるものの、ハンコの場所が分かりません。むむう、どうすれば。

もっと、名案がないかしら……彼女は、暗闇の中でじっと眼を開けていた。
(そうだ。新子ちゃんに頼んでみよう、前川さんは、ちょっとしたことで、あんな大金を呉れるんだもの。お給金の前借なんか簡単に出来るかもしれない)
 家の生活がどうなろうと、母姉妹をどう詐そうと、乗りかかったこの船を降りて、なんの生き甲斐があるものか。芸術のためだもの、自分が本当に生きて行くためだもの、手段なんか、どうだって


圭子は、新子が驚いてお金を送ってくれるような、なんかスゴイ電報を打つことにしました。

(それにしても、必死的な退引(のっぴき)ならぬ電報の文句を!)と、圭子は考え出した。

はい、次の章のタイトルは「愛人無為」。どうなるんでしょうね。
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