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貞操問答 第3回 姉の愛人

第3回の章タイトルは「姉の愛人」。さて、見てみましょう。

家を一足出ると、ストッキングに開いている穴のことなどはすっかり忘れて、美和子がうきうきと、訪ねて行った先は、四谷からはさほど遠くない原宿であった。

ということで、新子の妹、美和子のお話みたいですね。

下町の華族女学校といわれたほど、校風も生徒も華手(はで)である美和子の女学校

に通っている美和子は、原宿に住む金持ちな同級生・珠子のおうちに遊びに行ったのです。ちなみに、この学校は現在でも残っていて、「中村中学校・高校」のことみたいですよ。

さて、遊びに来た美和子はさっそく、珠子とお話をします。で、ここで会話が、とても明治生まれの作家が書いたものと思えぬポップさ。会話だけ引用してみると、

「今日(こんち)ア。」美和子
「美坊(みいぼう)、おそいんだもの。心配したよ。どうしたのさア。」珠子
「だってエ。相変らず、お姉さまのガチがうるさいもの、機を見て出て来たのさ。」ガチって?
「とても、今日ラッキイなのよ。お兄さまのお友達で、新音楽協会の練習所にいる人で、とてもハンサム・ボーイを、お兄さまが呼んであるんですって……」
「へえ――」

「で、解った、道理で、ター公のお化粧が念入りだとさっきから、感心していたのさ。」美和子
「チェッ! 生意気いうな。こいつめ!」珠子
「めんちゃい! めんちゃいっ!」美和子

「めんちゃい」も良いですが、「めんちゃいっ」の方はもっと秀逸。はじけてる感じが出てますねえ。
ま、それはともあれ、珠子の兄が呼んだハンサムボーイというのは、美沢直巳というバイオリニスト。ついでにいうと、主人公・新子の恋人だったのです。ははあ、だから章タイトルが「姉の愛人」だったんですね。

美沢が、美和子の姉の新子と知り合ってから、もう二年になる。二人は、友人であるといってもよいし、愛人同士であるといってもよいような、即かず離れずの間だった。

だそうです。ちなみに、この美沢は、貧乏なため、小さい女学校の音楽教師をしていたのですが、芸術的野心のため、新音楽協会に転職したようですよ。

結局一年と一学期辛抱した後、このほど思い切って、好きなヴァイオリンの試験を受けて、新音楽協会の練習所員となった。
 初給は四十五円。教師のときよりも、ズーッとわるかった。新子に結婚の申込などする勇気はいよいよなくなった。しかし、公演もあり、放送もあり、技を磨くには絶好の職業であった。芸術家としてのかれの人生の曙光は見えた。


そんな感じで、教師の頃より充実した生活を送っている美沢ですが、ちょっと困るのが、転職のことで、愛人の新子と疎遠になっちゃったこと。おっと、ちょうど妹の美和子に会ったことだし、美和子を送りがてら新子に会おうかな、

しかし、一緒に帰途につくと、やけに積極的な美和子です。

「ねえ、美沢さん。一しょに銀座へ行かない?」

とか美沢を誘っちゃったりして。美沢としても、明るい女学校生の美和子と話をするのはチョット楽しい。むしろうれしい。思わず心につぶやく美沢。

第一、美和子は、新子のように批評的に、皮肉に人を見たり考えたりしなかった。

しかし美和子と遊んで(?)、家に帰るとどっひゃー。

母が出迎えて、
「お帰り、ほんの一足ちがい――新子さんが、八時半頃お見えになって今しがたまで、いらっしたのよ。」と、云った。


そして、部屋には新子の置手紙。今度、家庭教師で軽井沢に行くことになったことや、前川夫人ヤベーみたいなことが書いてあります。美沢は思うのです。

美沢は、美和子につき合った浮気心を、我ながらいよいよ情なく思った。

一方、新子は11時過ぎの夜遅い帰り道、やはり夜更けの道を急いでくる美和子に遭遇。そして、美和子がハイテンションに美沢と会っていたことを話しやがるので、すっかりメランコリックハートです。さらに家に帰ってまでも美沢のことを話しまくる美和子に、新子は聞きます。

「美沢さん、別に私のこと何か貴女に訊かなかった?」と、背を向けたまま訊ねた。

しかしヤバイと思った美和子は、

「ううん。何も。」

とトボケちゃいます。それを聞いた新子は怒りと悲しみのズンドコに。何よ、何よ。あたしが家計のために働こうっていうのに、妹のあんたはあたしの男を……うわーん。

一家の生活問題に及ばずながら立ち向おうと、立ち上ると、その隙間に側に寝ている肉親の妹が、早くもわが愛人をかき乱そうとするのか。新子は、全身をながれる悲しみを感じて、瞼の裏があたたかくぬれてきた。

次回の貞操問答は「新子の仕事」。いったい、どんな話でしょうね。(僕も本当に知りません)
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