Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://ikuraonigiri.blog54.fc2.com/tb.php/229-4c725762

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

生まれいずる悩み 前篇

有島武郎の「生まれいずる悩み」を読んだわけです。前に読んだのが中学校の頃だとして、ええと、30数年ぶり。いや、時の流れるのは早い。

あいかわらずグイグイくるお話なんですが、読んだことのない方のために、軽い紹介を。いちおう、全9章の構成なので、ひとつずつ。ただ、今後読む予定のある若い方には、おススメしません。自分で読みましょうね、。

1章
私は自分の仕事を神聖なものにしようとしていた。ねじ曲がろうとする自分の心をひっぱたいて、できるだけ伸び伸びしたまっすぐな明るい世界に出て、そこに自分の芸術の宮殿を築き上げようともがいていた。それは私にとってどれほど喜ばしい事だったろう。と同時にどれほど苦しい事だったろう。

いきなり力瘤の入った文章でスタート。ともあれ、「私」はリアル有島武郎と同じ作家らしく、しかも筆が進まず悩んでいる様子。そして、そんな時に思い出したのです。

私はさびしさのあまり筆をとめて窓の外をながめてみた。そして君の事を思った。


2章
はい、その君というのは、以前、札幌に住む私ことタケオのところに絵を持ち込んできた少年のことです。作家のところに絵を持ち込んでどうしたいのかは、いまいち不明ですが、北海道には有名人が少ないので、選択肢がなかったんでしょうね。

君は少しふきげんそうな、口の重い、癇で背たけが伸び切らないといったような少年だった。

しかし持ち込んできた絵はホンモノの芸術。というかホンモノのようにタケオには感じられました。

「たいへんいいじゃありませんか」
 絵に対して素直になった私の心は、私にこう言わさないではおかなかった。


しかし、話をいろいろ聞き、絵で身を立てられるか聞かれたタケオは、ちょっと怖くなります。

私もそれに対してなんと答えようもなかった。専門家でもない私が、五六枚の絵を見ただけで、その少年の未来の運命全体をどうして大胆にも決定的に言い切る事ができよう。少年の思い入ったような態度を見るにつけ、私にはすべてが恐ろしかった。私は黙っていた。

そんな大人な態度をとったタケオに、「君」はすこし寂しそうに去っていきます。ちなみに東京での生活をあきらめ、岩内という出身地に帰ったみたいですね。

そんなことを思い出すたびに、指先に刺さったとげのように「君」のことが気になるタケオ。

そしてどうかした拍子に君の事を思い出すと、私は人生の旅路のさびしさを味わった。

だそうです。もっとも、文章を読む限りでは、「君」のことを心配しているより、あくまで自分、自分みたいですけど。ほとんど「君」はダシになってるだけ。なにしろ、自分のことを

孤独に親しみやすいくせにどこか殉情的で人なつっこい私の心

とかタケオは平気で書いてますからね。訳すと「ロンリーだけどピュアでフレンドリーなマイハート」って感じか。

そんなこんなで十年後。

「あの少年はどうなったろう。道を踏み迷わないでいてくれ。自分を誇大して取り返しのつかない死出の旅をしないでいてくれ。もし彼に独自の道を切り開いて行く天稟がないのなら、どうか正直な勤勉な凡人として一生を終わってくれ。もうこの苦しみはおれ一人だけでたくさんだ」

とか、タケオが思っていると、そこに「君」から小包が届いたのです。開けてみると、そこには鉛筆で描かれたスケッチ帳が入っていました。「やっつけたな!」と喜ぶタケオ。ナイスなスケッチじゃありませんか。こうなると、当時タケオは東京に住んでいましたが、うかうかしていられません。「君」にも会いたいし、北海道のマイ農場へゴー、ゴー。

 札幌での用事を済まして農場に行く前に、私は岩内にあてて君に手紙を出しておいた。農場からはそう遠くもないから、来られるなら来ないか、なるべくならお目にかかりたいからと言って。
スポンサーサイト
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
http://ikuraonigiri.blog54.fc2.com/tb.php/229-4c725762

トラックバック

コメント

コメントの投稿

コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

Appendix

プロフィール

いくらおにぎり

Author:いくらおにぎり
FC2ブログへようこそ!

FC2カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。