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「女學生手帖」を読んだ

「女學生手帖 大正・昭和 乙女らいふ」弥生美術館・内田静枝 編(河出書房新社)


を読んでいたわけです。この本、大正・昭和の少女雑誌の紹介やら、有名画家の紹介。さらには吉屋信子や川端康成が書いた少女小説のあらすじなどが載っていたりして、至れり尽くせりの好著なんですが、中でもおかしかったのが、大正・昭和当時に少女雑誌に乗った「お悩み相談」のコーナー。

まあ「人生相談」は、かの北方健三先生の「試みの地平線」を挙げるまでもなく、おかしさ爆発しやすいジャンルなわけですが、この本に取り上げられている相談(というか回答ですね)も、とてもアツイ。

たとえば、男と接吻をしてしまったという17歳少女の相談に対して、最初はごく普通に、未婚の男女がキスするなんてダメだよお、と言っていた回答者さんですが、後半いきなりヒートアップ。

たとえ婚約者の間でもあんな非衛生的な事はやってはならないと思います。活動写真やその他に影響された外国人の悪風などまねるのは猿真似にも等しい愚な事です、断然おやめになることをおすすめします。(『令女界』昭和九年四号)

あーあ。キス自体を断然否定しちゃいましたよ。

いっぽう、「M様! M様! その名をおよびしただけでも私の心は狂いそうでございます」と、あこがれの同級生Mさんに対する思慕の情を、テンパったわりに美文調で質問してきた「女学校三年の、悩みに泣くあわれな子」さんの質問には、いきなりガツンとひと言。

先ず、窓をあけなさい。すこし、あなたの心を冷ましなさい。(『少女画報』昭和三年九月号)


ああ、確かにね。まあ、おちつけ、と。

さらに「三年の始めあたりまでは大変真面目」だったけど、四年の「夏休近くに」遊びを覚え、エッチ、妊娠、自然流産という、今でもいそうな<悩める女>さんの相談。

これから先、縁談もあることでしょう、その時、秘密を持ったままで嫁いでもよいでしょうか。男は結婚してから、女が処女であるか否かがわかるものでしょうか。どうぞお教えください。

なんかイラっとくる質問ですね。結局、バレるかどうかが気になっているんですね、コイツ。もちろん回答者さんも怒っています。

この頃の若い女学生のあまりにもふしだらなのに驚かずに居られません。

と嘆きつつ、不良グループに接近して、そんなことやってれば妊娠するの当然だろと諭しています。しかし怒りが治まらなかったのか、さらにチクリ。

「女学生に処女なし」というような考えを多くの人たちに持たれるようになりつつあるのも、あなたのような人が多いからです。

ええっ、そうなんですか。昭和八年なのに、そんなに乱れていたとは。今よりひどいかもしれませんね。ま、それはそうとして、どんな質問であろうと、なんらかの回答を引き出してみせるのが、回答者さんのエライところ。

男が結婚してから処女か非処女かを見わける事が出来るかどうかといって、普通の場合ならなかなか見わけられないかもしれませんが、妊娠して流産までした程のそれほど男性と交渉があったのでしたら、ただちに見わけは出来ないとしてもいつかは発見されることがあるものと考えてよろしいでしょう。(『令女界』昭和八年六月号)

えーと、つまり一回二回ならともかく、経験豊富だとあんなところや、こんなところからバレるということですね。むむう、深い。

もちろん回答者さんは怒っているだけでなく、オチャメな部分もあります。イケメンなバス運転手Sに恋をして、さらにイケメンなバス運転手Tに恋をしたという「毎日バスで通学している者」の質問に対して、こう答えます。

Sがとても好き、Tがとてもすき……と新しく見る運転手が皆すきになってしまったんでは、次にはU、V、W、X、Y、Z、と何人も何人も好きな人が出ていよいよ以て選択に困ってしまうような事になるでしょう。

ぷぷっ。なにもZまで書かなくても。さらに回答がなげやりです。

解答は頗る簡単明瞭、曰く「もう少し、しっかりしなさい。」と、ただこれだけです。(『令女界』昭和十一年七月号)

まあ、「いつもいつも、いい返事が書けると思ったら、大間違いだぞ、ごらあ」くらい言いたくなりますよね。

たまには、回答者さんの推理魂に火がつくこともあります。「十八の乙女」からの質問で、婚約者のところに脅迫じみたラブレターが届いたんだけど、という質問に対して、

おそらく不良少女か又は不良少年から来たものでしょう。

と、いちおうは常識的な判断を投げかけつつも、金田一耕介が乗り移ってきたみたいです。

ただよくよく考えて見まするにその女というのは、あなたやあなたの許婚者のごく親しい知り合いの女であって、

と妄想が始まりました。さらに「じっちゃんの名に懸けて」妄想は膨らみます。

ひょっとするとその手紙はあなたの許婚者が、何か考えるところあっての芝居かと思われますが、何れにしても許婚者の誠意如何を密に監視して見る必要はあるでしょう。そうすれば自ら事件の真相もわかって来るような気もします。(『令女界』昭和九年二月号)

い、いや監視って。それも密にですか。さらに、おのずから事件の真相も分かると断言されても困るんですが。婚約者がジロジロと自分の行動を監視するようになったら、それはきっと『令女界』の回答者さんの差し金ということでひとつ。

まあ、それはともあれ、どんな質問だろうと、スパっと答える回答者さんの姿勢には頭が下がります。しかし、何と言っても秀逸なのは、これでしょう。

問 肩幅が体の割に広いので着物の折に困ります。やせる薬を飲もうかと思いましたがお金が要りますし、あまり効かないような話ですから飲まないで居りますが、どんなにいたせばよろしゅう御座いましょう。(山形 T子)


答 肩幅が広いのは骨が広いのですからいくらやせる薬を飲んでも効は御座いません。……
全身を太らせて肩ばかり目立たないようにすべきで御座います。そして体操などを試みて関節の柔軟をお図りになれば必ずよくなることと存じます。(『令女界』昭和七年十一月号)


つまらないコメントはなし。この素晴らしい回答をただ味わうのみです。
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